経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

資産運用

第72回 アンケート調査から見える長寿企業の平均像

10.営業と資産運用について

創業時からの明らかな転業率は26%でした。創業時の商品の残存率を見ると、33%は創業時の商品は扱っていません。転業したのは26%で、33%と26%の誤差は転業していませんが、創業時の商品は扱っていないということです。
創業時の商品の販売率が売上高の25%以下が110社で、これは全体の38%です。度数では206社が取り扱いが25%以下、もしくは0%の会社なので、母数の286社で割ると72%です。売上比率が25%を下回っていると主力商品ではない可能性が高いので、ビジネスモデルとしては創業時とは変化していると想定され、約3/4が事業替えをしたと考えられます。これはチャールズ・ダーウィンが唱えた『進化論』に言われる「強い者が生き残ったのではなく、変化した者が生き残った」という定義に合致しています。
一方、創業時の商品が、現在も売上高の50%以上を占めているのは28%で、よほど創業者達に先見力があったか、開発した商品が素晴らしいか。いまだに競合商品を抑えていると考えられます。こういう商品をもった長寿企業は幸せです。
次に、売上と品質のバランスについて、「やや品質重視」と「品質重視」の合計は50.5%と過半数です。これは「やや売上重視」「売上重視」の合計の3倍以上で、ここには長寿企業の特徴が見られます。たとえ売上を伸張できる時でも、品質を落としてまで売上を上げようとしない。これが長寿企業の特徴的な経営方法です。
ただ、約30%を占める「どちらでもない」企業は、明確に「品質重視」とは答えていないので、経営環境、状況によっては「売上重視」のほうに傾く可能性があります。そうすると、50.5対49.5になります。仮に、「どちらでもない」の半分が「品質重視」のほうに傾くと65.5%で約2/3になります。
長寿企業ならではの特徴が出ているのが資産運用です。資産運用をしていないのが66.8%で、2/3は財テクをしていません。残りの1/3は過去にしたことがあって大幅な利益を上げられた会社は4.1%に過ぎません。この中にはいるのは至難の業です。

第40回:会社の資産運用(財テク)について

会社の資産運用について聞いたところ、「していない」が2/3を超えました。

 第1位:していない(66.8%)
 第2位:株式投資
 第3位:不動産投資


これは長寿企業の真骨頂ではないでしょうか。あくまでも本業で稼ぐことを選択しています。一代で財産を築いた経営者が、一夜にしてそれを失ってしまった例は、長寿企業の平均経営年数145年の時代の中でいくらも見てきたことでしょう。その代々の経営者が、後の経営者に財テク禁止を伝えてきたからでしょう。住友の家訓「浮利を追わず」はその有名な一説です。

投資対象として上がったのは株式と不動産でした。不動産は会社や工場の敷地用に入手したのは資産運用ではないので含まれません。投資はあくまでも転売用として買った土地、建物のことです。株式は取引関係上のおつき合いという場合もあり、純粋な資産運用となっていないケースもあるでしょう。取引先から依頼された株式保有は、なかなか断りにくいものです。いずれにしても、株式投資なのでより現金に近いところで運用されていることがわかりました。

40グラフ

続いて資産運用をしていると答えた経営者に資産運用の成果はどうだったのかを尋ねたところ、上記のような結果になりました。大幅な利益を出せたのはわずか4%で、利益が出せたのは25.2%だけでした。どちらでもないと損失をたすと75%となるので、結果から見ても、投資はしないほうがよいのは確かなようです。もともと資産運用をしていない会社、経営者は、こういうことを感覚的にわかっているわけです。「どうせくたびれ儲け」に終わるということです。

そういえば、大王製紙の井川意高前会長は、最初にカジノに行った時に儲かって、そこからはまりこんでいったそうです。例えひとたび儲けたとしても、それが災いの元になる事もあるので、やはり「触らぬ神に祟りなし」です。ちなみに大王製紙は設立から68年ですから、今回の長寿企業平均の半分の年数もありません。
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