経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

経営方針

第67回:アンケート調査から見える長寿企業の平均像

5.経営へのこだわりについて

長寿企業の経営のこだわりは、PLでは利益へのこだわりが68%で、売上へのこだわり18%の3.8倍です。BSでは自己資本比率が54%で、2位が流動資産の18%なので、圧倒的な過半数をあげています。成長することよりも、企業が安定的に維持されることのほうに、重点を置いています。
経営全般(19項目)の中で重視する分野を調べた結果を、ヒト、モノ、カネ、技術、情報、哲学の6分野に分けたところ、1位:技術、2位:ヒト、3位:カネ、4位:経営哲学、5位:モノ、6位:情報という順位になりました。他の項目で聞いた「経営上で重視する分野」でも技術が1位になっており、技術が2位になった質問項目「後継者として先代から受け継ぐのに重要なこと」ともあいまって、技術の重要度の高さがわかります。
かつてはヒト、モノ、カネと言われてきた経営の3大要素に変化が起こっている可能性があります。ビジネスの国際化とデフレで、業界内での優勝劣敗と下克上が激しくなったために、人間関係や取引実績だけで他社に勝てる時代ではなくなったこと。また、インターネット等の効用で、情報の社会的な共有化と民主化が進み、商品の需要者と供給者の間で、知識や能力の格差が少なくなったことで、需要者の要求レベルが上がり、それに応えられる供給者と応えられない供給者ができてきています。パナソニック、シャープ、ソニー、そしてサムソンなどのテレビ製造業界を見るとよくわかります。但し、技術と言っても、単に物作りの技術だけでなく、経営のメソッドや資本投資の技術も範疇にはいると考えねばなりません。
このような大競争の時代になり、自社を他社と差別化する技術が求められることを反映して、技術が上位に来ていると考えられます。

第64回:アンケート調査から見える長寿企業の平均像 

2,長寿企業の経営内容

1) 経営者は経営方針の策定に力を入れており、経営方針発表会を年に1~2度おこなっている。

2) 日々の経営で注目しているのはヒト、次に技術(ノウハウ)。

3) 社員教育では業務知識の向上ではなく、理念教育を重視している。年1回、社員旅行もおこなっている。

4) 会社の成功事例は2/3の会社が共有化しており、失敗事例も60%が共有している。5)過去に経営が厳しくなったときは顧客ターゲットを変え、それでもダメだったら商品そのものを変えた。それでも厳しくなったときは銀行の借入で何とかしのいだ。

6) 経営で気を付けているのは販売先の業績と競合会社の台頭。取引先との良好な関係が一番大事で、次に商品力。短期的な好不況に左右されない商品をもっているのが理想と考えている。

7) 創業時の商品は30%の会社で現在は取り扱いがゼロ、35%の会社が25%以下の取扱量である。かなり商売替えが起こっているということだ。

8) 売上が好調なとき、品質を多少犠牲にしてでも売上を重視するのは17%。過半数の会社は品質重視で売上を追わない。それよりも常に顧客の新規開拓に注力して、売上の向上を目指している。

9) 基本的に財テクはしない。本業で勝負しているが、昔、少しやってみた会社は75%が儲からなかったという。触らぬ神にたたりなしだ。

10) 創業以来、経営年数の80%では黒字が出ており、ここ10年の経常利益率が赤字になった会社はわずか2%である。5社に1社は5.1%以上の経常利益を上げており、3社に1社は同業他社よりも収益性が高いと考え、同程度と考えている会社と合計すると80%を占める。長寿企業の経営はかなりなのである。

11) 株式については73%の会社が今後も未公開とし、4%はできれば公開したいと考えている。なぜ公開しないのかと聞くと、「そのほうが経営しやすいから」、次に「外部の資金は必要ないから」という。内部留保が厚いということだ。

12) 経営の継承については、現代表は4代目、5代目、3代目の順に多い。代々の経営者は80%が同族出身者。

13) 今後の継承者については70%が同族であることよりも実力重視としているが、いままでの継承が上手くできた理由は、「同族であったから」と答えている。理想とは違って、結局、同族で継承するという可能性が高いことがわかる。

14) 継承する人には、社員との良好な関係を築くこと。次に、利益確保を重視していること。経営の継承は第一に、勤めている社員の雇用を継承・維持することであり、そのために利益を確保することを念頭に置いている。

15) 後継者に引き継ぐ最重要なのはヒト、次いで技術と考えている。
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