経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

社員持ち株制度

第10回:同族者がもっている株式の比率

316社の回答では、同族者がもっている株式の所有比率は76.1%でした。これはたいへん高い比率と言え、長寿企業の同族者はしっかりと会社の経営権を所持していることがわかります。

持ち株比率が50%を上回りますと取締役の選任・解任ができ、66.6%を上回ると経営を監視する監査役の選任・解任ができます。つまりいつでも社長を替える権限をもっているということですので、同族の中で社長を選び続けることもできます。他人を社長にしたとしても、いつでも替えられるので、逆に、社長さんはたいそうやりにくいことでしょうね。よほど給与がよいか、やりがいがあるか、名誉になるかでないと引き受けないでしょう。

また、会社の内容を変える重要事項を決定することもできるので、合弁やM&Aなどへの対応も、同族者間で決められます。今回の調査の長寿企業は非上場の企業を選んでいます。規模的には株式を公開できる企業もたくさん含まれていますが、その点では保守的な側面が見えてきます。

コラム10用グラフ

第8回:社員持株会の有無と、同業他社に比べた過去の収益状況との関係

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企業の代表者は、業界内外の人脈をもっているので、自社が業界内でどのような位置づけにいるのか、どういう評価をされているのかを、よく知っているものです。それは常時、そのことに気をかけているからで、多方面から集まる断片的な情報を組み合わせていくことで、業界内の企業の位置づけや評判を感じとっています。

そのような中で、代表者が感じている自社の業界内における収益性と、持株会の有無には何らかの関係があるのかを解いてみました。上記の表を見ると、持株会が有るのと無いのでは、いずれも持株会が有る方が収益性がよいという結果が出ています。前回の各企業の収益性と持株会の有無をクロスで集計した時にも、持株会があるほうが、若干、企業の収益は安定している、という傾向が見られたので、やはり持株会には企業の収益性を安定させる、一定の効果はありそうです。ただ、各々に大きな差が出ているわけではないので、持株会の有無が要因となって、このような結果を出している、という事は言えないと思います。

いつの時代も企業経営者にもっとも近い味方は社員です。社員持株会の有無は、社員と会社、社員と経営者、経営者と会社の関係をどのように作り、維持してゆくか、に深い関係があります。経営者が会社を私物化することなく、労使の関係が安定していれば、企業の収益性も安定してくる、ということで、それに対して社員持株会が貢献していると言えるでしょう。

実のところ、出版文化社でもこの社員持株会を作っております。導入しましてかれこれ10年たちますが、配当無しは2回で、50%配当という年もありましたので、効果を実感しております。代表者にとりましても、有意義な制度だと思っております。
ただし、クリアにしておかなければならないのは、将来にわたる会社の所有に関する考え方です。社員持株会を作る、ということは、社内において会社を公開し、社内で上場するというぐらいの意味をもちます。両刃の剣でもありますので、導入には理論的な準備が必要です。
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