この調査が終了した2011年1月ごろ、そのことを聞かれたSMBCコンサルティングから原稿依頼が来て、『成果を生み出す社史の作り方――成功長寿企業になるため、会社の歴史からいかに学ぶか』を新書版120頁ほどにまとめました。

先日、その冊子を読まれた東京と福岡に本社のある社員千名ほどの会社から、その冊子を読んで追加で10冊を購入していただき、幹部の勉強会に使われたとのこと。出版以来、そのようなお話が次々と届いて喜んでおります。企業幹部の中にも会社の歴史に学ぶ必要性を感じている方がたくさんおられるということです。皆さんへしっかりお知らせをしてゆく責任を、改めて感じた次第です。
第60回・5月24日までで長寿企業の定量面の調査分析をお知らせしたが、これのとりまとめをせずに、定性面の分析に移行しようとしたことについて、読者からのコメントが来ました。週に1回で、しかも長期にわたっているので、一度、定量面の分析結果を整理してほしいというご要望でした。すみません、気が付きませんで。この後、数回でまとめさせていただくこととします。

1,長寿企業の概要

1)創業から144年、平均して慶応2年に創業した長寿企業群である。黒船が来航、徳川政権の支配力が目に見えて衰え、幕藩体制を崩しかねない薩長同盟が結ばれた年である。勘の鋭い創業者はおそらく時代の新しい息吹きを感じながら次の時代を生き抜くために、今後の仕事をどうするかを考えたに違いない。職人も商人も、武士もいただろう。

2)そのうちの38%が流通業(小売り、卸し)を選択し、創業時のビジネスから4社に1社は転業して今日に至っている。現在、流通業は40%となっており、他業種から転業してきた会社があることがわかる。

3)現在、社員数は連結子会社も含めると平均で229人、売上高は13,875百万円。3社に1社は社員持株会が有り、社員持株会の有る会社のほうが、無い会社よりも収益性は高い。(非上場企業の売上高上位から1,500社を選んでアンケートを行ったので、平均の長寿企業よりもかなり企業規模が大きい結果が出ています)

4)社風としてはやや実力主義を標榜している会社が多いが、収益性が良いのはやや家族主義である。全くの家族主義は少なく、全くの実力主義も多くはない。

5)社是は80%の会社にあり、破ったことがない会社はそのうちの86%であった。ということは、328社のうち225社(69%)は社是を堅実に守っている。ただし、流通業と非製造業では71%には社是があるが、製造業系の会社に比べると社是の所有率は低い。

6)取締役の過半数は同族で、同族の株式所有比率は76%であった。

7)4社に1社は労働組合があり、社員数では労働組合がある会社は無い会社の約4倍になっている。ただし、労働組合のある会社は企業規模は大きいが、無い会社に比べて経常利益率が落ちる。

8)PLでは経常利益にこだわり、BSでは自己資本比率にこだわる。経営全般でこだわっているのは総資産経常利益率(ROE)である。

以下は次回へ続く――