経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

拡大

第38回:営業利益を拡大、維持に重要な事

営業利益を拡大し、維持をするのに何が必要かを尋ねました。今回のアンケート結果の中でも、これほど明確に出た答えはありませんでした。「営業利益を拡大させるには売上を向上させる」は64.7%ですから、明らかな指針が示されています。

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「利益の素は売上である」というのは事実です。他に上がっている選択肢を見ると有力な内容もあったので、けっこう得点が分かれると思っておりました。
さて、この結果は何を表しているのでしょうか。営業利益を上げるには、原価を低減し、一般管理費を効率よく使えば、結果として営業利益は捻出されます。しかし、それは損益計算書に書かれている順番であり、至極当たり前の答えです。当たり前の順番であるなら、もっと答えが割れてもよさそうですが、売上のところに集中しました。
それは今の時代を反映しているのではないでしょうか。生き残りをかけた激しい時代が、今から10数年前に始まりました。いわゆる成長しない時代の「大競争時代」の始まりです。経済が伸び悩む中でも成長しようと思えば、同業他社の売上を食って行くか、それを超えて同業他社と組んで事業領域を広げ、無用な競合を防ぐか、何らかの工夫が必要です。
また、もう一つ、長寿企業の特徴を表しているのは、「社員または給与を減らす」ことにはまったく理解を示さず、最も低い「2人」であったことです。長寿企業は社員を増やすことにたいへん慎重ですが、社員の雇用を守ること重大に考えています。よって安易に雇用の削減や給与カットは行ないません。また、そうなることを恐れて、安易に人を増やさないのでしょう。万が一、社員の雇用について問題が発生したら厳しい局面に立つことを知っている経験豊富な長寿企業の一面でもあります。

この研究を開始した時、ある大学の教授は「企業は成長して、社会の活性化させてゆくことに意味がある。ただ、長寿することにどれほどの意味があるのか?」と言われました。ハーバード大学式MBAの考え方でいくと、確かに「倒木更新」が社会のプラス要素につながるという見方があります。しかし、企業が倒れる時に作り出される社会的なマイナス要素を考える必要があるというのが筆者の考えです。
売上の拡大は会社のためです。それは会社の力を高め、影響力を強めることになります。社員数が増えることは雇用の拡大に貢献します。営業利益の拡大は会社のためだけではなく、雇用を守るために必要なことです。
世の中に、売上は増えたけれども、雇用を守れなかった企業はいくらでもあり、それでは元も子もないと考えているのが長寿企業の特徴です。

第37回:売上の拡大、維持に重要なこと

長寿企業には、長年取引をいただいている安定した取引先があると思っていました。長寿企業が顧客によって発展もし、顧客によって潰れもする、という考えをもっていることは、前回までに説明してきました。しかし、現在の顧客一辺倒ではないことが、この質問でわかります。

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それはトップに「新規顧客の開拓」が28.4%を獲得しており、第2位に「新商品・新製品の開発」が26.3%で上がっていることからわかります。それらを合計すると54.7%になり、十分な過半数をとっています。つまり、新しい商品・製品を開発して、新しい顧客を開拓するという、既存の顧客だけではなく、まだ見ぬ顧客に目を向けていることがわかったのです。
答えの中にある「新しい流通の開拓」や、「新規取扱店の開拓」も新しい顧客の開発の一環として考えられるので、これらを合計すると、実に67.5%と2/3の企業が新規の顧客開拓をあげています。ということは、長寿企業はたいへん新規顧客の開拓に熱心であることがわかります。もっている顧客は砂のように流れ落ちてゆくことを経験的に理解していますので、現在の顧客を守っていくだけではやってはいけない、ということを歴史から学んでいるのです。

前回調査で、売り上げ好調時でも品質にこだわっている会社は50.5%社でした。それに今回の答えをあわせると、現在の商品で売上を増やすことを考えながら、つねに新商品を開発し、もって新しい顧客を開拓すると考えているようです。
長寿企業はつねに新規顧客開拓にいそしんでいる姿が浮かび上がりました。この取り組みが、実は長寿企業になる秘訣のひとつと言えそうです。
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