経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

家族経営

第58回:過去10年の経常利益の平均、および同族、非同族と、先代から受け継ぐ要素:技術

長寿企業の経常利益の現状と、先代経営者から引き継ぐ要素として「技術」を大事に考えている経営者の回答を掛け合わせたものです。ここからは経営の利益率と技術への関心の強さに関係があるかどうかがわかります。

58図表

全体的に、技術の評価が高い事がわかります。ポイントは「カネ」の時に、11%以上のグループは「カネ」を重要と選んだのは第2位でしたが、この技術では重要を選んだのが第1位になっていることです。2%以下のグループではわずかな差で2位になりましたが、ほかのグループは「カネ」と比べると、1位と2位の差が開いています。今回のアンケートで技術に対する評価が高いのは一貫していますが、それは利益率との関連はありませんでした。

58グラフ

技術については、「やや重要である」と「重要である」の合計の割合が非同族で84%、同族で78%です。若干、非同族のほうが重要に思っているようですが、特質を表すほどの差ではありませんでした。
同族も非同族も同じぐらいに技術は大事だと思っています。ただ、「重要」を選んでいる比率は非同族のほうが多く、全体でも6%多かったので、若干、非同族のほうが技術には関心が高いと言えそうです。
同族は長年の経営でこだわっていること、まとっているものがたくさんあります。経営を維持してゆくのに大事なものは暖簾だのブランドだの信用など、いろんなものがあります。しかし、非同族にとっては、自分が経営している年数が勝負です。その結果として、このような評価になったと考えられます。

第55回:過去10年の経常利益の平均、および同族、非同族と、先代から受け継ぐ要素:ヒト

長寿企業の経常利益の現状の答えと、先代経営者から引き継ぐ要素として「ヒト」を大事に考えている経営者の回答を掛け合わせたものです。ここからは経営の利益率と「ヒト」への関心の強さに関係があるのかどうかがわかります。

55図表

赤字~11%以上まで、いずれも重要と答えた経営者が各%の第一位に来ています。2%~10%までは第一位が80%以上を占めていますので、人の重要性と利益率には関連性はありませんでした。つまり、経営者の80%以上の人たちは、人を重要に考えているが、利益率には差があるということです。よって、利益率を左右する要素は、別にあると考えるべきなのでしょう。
続いて、同族、非同族と、ヒトへの評価について掛け合わせてみました。

55グラフ

ここでいう非同族は、何代も前から同族ではなくなっている会社も、現在の社長が同族ではない会社も含まれています。
1位と2位の順位は同じですが、同族も、非同族にも「重要である」と「やや重要である」の数字のボリュームに圧倒的な差があります。これを%で見てみると、214/256=83.6%、57/65=87.7%となっています。特筆するほどの差ではないことがわかります。つまり、同族である場合も、ない場合も「ヒト」に対する重要さに差はない、ということでした。
「ヒト」の重要性については、利益率に関係なく、また同族・非同族にも関係がありません。販売無くして会社無し、社員無くして社長無し。社員あればこその社長であり、会社です。ほとんどの経営者が重要と考えていますが、それをどのように言葉と行動に表しているのか、そこに差が出ている可能性があります。
重要なのはわかっているけれど、それを表現できない、行動で表せない社長さんの真意が社員に伝わっているかどうか、それによって利益率に差が出ていると考えるのは、小生のうがった見方でしょうか。

第49回:経営者の同族性と後継者の人選について

49図表

同族である会社と、同族で無い会社の選択には、一目瞭然での差異がありました。同族企業が選んだ「同族である事」は1位に入り、統率力と人柄が2位と3位になっています。そして、同族でない会社は1位が統率力、2位が人柄、3位が指導力で同じですから、同族の場合は、「同族であること」が1位に割り込んだ結果と見れます。
そして同族でない企業の選択に、「同族であること」が1/3の11%になっています。非同族経営者の10人に一人は同族への大政奉還を考えているようです。
「同族であること」を除くと、どちらも後継者に同じような能力を求めていることは興味深い結果でした。

第48回:過去10年の経常利益の平均と、後継者の人選について重要な事

過去10年の経常利益の平均と、後継者の人選について重要な事
48回_図表

後継者の人選についての考え方と、経営の利益率に関連性があるかどうかを見てみました。縦列で1位~3位の順位に大きな差はありませんでした。若干、「同族であること」を選んだ経営者の利益率が、他と比べて高めである、ぐらいのことでした。よって、後継者の人選の考え方と利益率には関連性はないと言えます。

これは「関連性がなかった」ということに意味があって、利益率の違い(会社の経営成果の違い)が、後継者の人選について影響はなく、ほかの考え方が影響している可能性があるということです。
ただ、予想できるのは同族が経営していて、一定の経営成果が上がっていれば、そのまま同族を続けることは可能ですが、経営状態が悪ければ社員達も「このままでいいのか・・・」という疑問をもつでしょう。
さらに経営が悪化していけば、いよいよ銀行も口を出してくるでしょう。支配同族を銀行が追い出したという実話は枚挙にいとまがありません。

第47回:後継者の人選で重要なこと

後継者の人選で重要なこと

同族であることが全体の29%で、反対の非同族であることは1%。合計すると同族であるかないかにこだわっているのは、全体の30%であることがわかります。1/3以下の社長さんしか、後継者について同族であるかないかに関心がない、というのは意外な反応でした。そして、同族であることが29%ですから、これも思っていたよりも少なかった。これが20年、30年の企業が答えているのではなく、平均144年の会社ですから、なおのこと驚きます。70%は同族の有無ではなく、後継者の人間力を問題にしています。統率力、人柄、指導力は合計で53.8%。過半数の社長は能力を重視しています。

第9回「取締役に締める同族の割合」では過半数の51.3%が同族の取締役でした。また、第10回の同族がもつ株式の比率では同族が76%(3/4超)を所有していました。ここから読めるのは、株式は所有したまま、経営者は徐々に同族ではなくなる傾向が強まっていく可能性があるということです。
ただ第45回にあるように、過去の平均144年にわたって、経営者は約80%が同族であった、という調査結果があります。理性的に考えると、後継者選びは同族にはこだわらないが、いざ後継の時代を迎えると、多くが同族者に落ち着くというのが実体のようです。
著者プロフィール
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ