経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

出版文化社

第8回:社員持株会の有無と、同業他社に比べた過去の収益状況との関係

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企業の代表者は、業界内外の人脈をもっているので、自社が業界内でどのような位置づけにいるのか、どういう評価をされているのかを、よく知っているものです。それは常時、そのことに気をかけているからで、多方面から集まる断片的な情報を組み合わせていくことで、業界内の企業の位置づけや評判を感じとっています。

そのような中で、代表者が感じている自社の業界内における収益性と、持株会の有無には何らかの関係があるのかを解いてみました。上記の表を見ると、持株会が有るのと無いのでは、いずれも持株会が有る方が収益性がよいという結果が出ています。前回の各企業の収益性と持株会の有無をクロスで集計した時にも、持株会があるほうが、若干、企業の収益は安定している、という傾向が見られたので、やはり持株会には企業の収益性を安定させる、一定の効果はありそうです。ただ、各々に大きな差が出ているわけではないので、持株会の有無が要因となって、このような結果を出している、という事は言えないと思います。

いつの時代も企業経営者にもっとも近い味方は社員です。社員持株会の有無は、社員と会社、社員と経営者、経営者と会社の関係をどのように作り、維持してゆくか、に深い関係があります。経営者が会社を私物化することなく、労使の関係が安定していれば、企業の収益性も安定してくる、ということで、それに対して社員持株会が貢献していると言えるでしょう。

実のところ、出版文化社でもこの社員持株会を作っております。導入しましてかれこれ10年たちますが、配当無しは2回で、50%配当という年もありましたので、効果を実感しております。代表者にとりましても、有意義な制度だと思っております。
ただし、クリアにしておかなければならないのは、将来にわたる会社の所有に関する考え方です。社員持株会を作る、ということは、社内において会社を公開し、社内で上場するというぐらいの意味をもちます。両刃の剣でもありますので、導入には理論的な準備が必要です。

プロフィール

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浅田 厚志 (アサダ・アツシ)

1957年 大阪府高槻市生まれ。青山学院大学大学院修士課程修了。翻訳士。
東京・大阪での出版社勤務を経て、1984年2月 現・出版文化社を個人創業、86年8月に法人化。SMBCコンサルティング、朝日カルチャーセンター、東京商工会議所で社史講座の講師を歴任した。日本アーカイブズ学会会員、企業史料協議会会員、盛和塾塾生、経営史学会会員。

創業以来、多くの単行本、定期媒体の企画・発行、社史・記念誌の企画制作、日米間・日中間・日印間の出版企画のプロデュースを手がける。現在、経営のかたわら、青学大大学院博士課程にて「成功長寿企業の経営スタイルと経営哲学」を調査・研究している。

著書:『企業を活性化させる社史の作り方』(2000),『ルリとクララ』(翻訳 2008)以上は出版文化社,『本は自分の出版社から出す』(共著 2010)出版共同販売。『成果を生み出す社史の作り方』(2011 SMBCコンサルティング・実務シリーズ)
著者プロフィール
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