2)自浄作用があるか
                                    
まず上げられるのは、経営者が交代したことです。会社にとっては、これほど大きな改革はありません。その時に、同族役員なども退任させています。それを契機に、同族役員を半数以下にするという改革をおこなった会社もありました。次に大きな改革と言えるのは、人事制度の刷新です。退職金を辞め、年俸制に切り替え、残業をなくすなど、大鉈を振るったケースがありました。
長い経営年数に生き残るには何が必要なのか。それは経営哲学であるというのが、大半の答えでした。長寿企業は企業としては大木に育っています。その根っこに当たる部分が経営哲学です。目には見えませんが、その根が地中でしっかり張られていれば、時代の変化としての風や嵐が来ても倒れません。根が短かったり、腐っていると、地上の図体が大きいだけに、たちまちのうちに倒れてしまいます。経営哲学をしっかりと作り上げ、社員と共有できているかどうか、ここに注力しているのが長寿企業でした。
ただ、立派な経営哲学を作り、社員との共有化と浸透を図ることを仕組みとして取り入れて、間断なく行ったとしても、経営者が悪るければ、元の木阿弥です。もっとも自浄作用が働かなければならないのは経営者自身の人間性です。「会社は売上のためにある」と考えず、「社員は利益のために働いている」と捉えてはならないのですが、時として、そのように流されることがあるのも、経営者も人間であることの一面です。
長年の経営に生き残れた理由に、「カネ」がひとつも上がっていません。第一に上がっているのは「ヒト」です。カネは生き残るための道具ではありますが、一過性のものです。カネが順調に入って出ていき、いくらかが滞留してゆく仕組みを作る必要があります。単に、ビジネスモデルではありません。ビジネスモデルには経営哲学が含まれません。ビジネスモデルに経営者の経営哲学が加わり、それに賛同する社員が集ることが、そのビジネスモデルを長期間にわたって、順調に回していく必須条件になります。
そのためには、経営者の人間性と人生観がつねに自浄され、会社と共に進化してゆくことが必要です。これが経営者の構造化調査でわかったことでした。
この経営者の自浄作用のほかに、もう一つ上げておくのは、商品に恵まれることです。長期経営をするには長きにわたって、商品が生き続けることが前提です。継続性のある分野を選び、持続力のある商品をつくること。そしてその品質を落とさず、あるいは磨きをかけてゆくことが大事です。短期間の好不況で売上が変わる商品では、長期経営がおぼつきません。近年の企業の盛衰を見てもよくわかることです。