8.成功事例と失敗事例の共有化

今回の調査で導き出された長寿企業の経営で特筆できるのは、成功事例と失敗事例の共有化についてでした。成功事例について「やや共有してきた」と「共有してきた」をたすと実に65.4%、2/3が共有することを意識してきました。逆に、「あまり共有してこなかった」「共有してこなかった」をたしても8%にしかならず、共有してきた会社はその8倍以上になります。
次に失敗事例ですが、「やや共有してきた」と「共有してきた」をたすと60.2%となり、過半数で共有化してきたことがわかります。
長寿企業では歴代経営者の79.6%は同族であり、取締役の過半数が同族者であり、株式の76.1%を同族で保有しています。経営の全権をもっているということは成功例も失敗例も、ともに同族者達が行っている可能性があります。よって、成功例は共有しやすいが、失敗例は葬り去られるのが通例と考えていました。そこはさすがに長寿企業です。60.2%もの高率で失敗例も共有化していました。その具体的な方法まで今回は調べませんでしたが、この成功例、失敗例の共有化は今回の調査対象となった長寿企業の重要な経営メソッドのひとつと考えられます。