これは経営者に7つの質問をして、それに対する答えを、ヒト、モノ、カネ、技術、情報、経営哲学に分けたものです。下記が得点数と平均点でした。

質問は

 :過去の経営危機はいつ、どのようなものだったか
 :経営の危機をどのように克服したか
 :なぜ、長い歳月にわたって生き残れたか
 :よい経営には何が必要か
 :よい経営の継承の仕方、後継者の選び方
 :経営権と株式について
 :経営者の驕りをいかに防いできたか

というものでした。

ヒト:4.0 モノ:3.8 カネ:3.9 技術:4.1 情報:3.3 経営哲学:3.9

技術がわずかですが第1位になりました。技術は今回に行った経営者アンケートの質問「後継者として、先代から受け継ぐ重要なこと」でも6項目の中で第2位に入っており、今回の調査では経営の構成要素の中で高い位置を占めました。これは調査での大きな気づきでありました。
いままで経営の重大要素はヒト、モノ、カネと言われてきた時代から、新しい経営の構成要素が認識されている時代が始まっています。それだけマーケットや企業間での優勝劣敗や下克上が激しくなり、かつてのように、取引実績や人間関係、ブランドだけで注文をとることが厳しくなっていることを反映していると考えられます。老舗企業の経営者は、そのことを敏感に感じとって、「技術」「創意工夫」で勝負しなければならない、という認識を示したのでしょう。
技術と言っても、製造業に限りません。飲食業でも、調理の技術や顧客接遇の技術で、独自の方法を行っている企業があります。営業では販促や販売の技術、というのもあります。これは他社との差別化の最たるポイントと言えるでしょう。

そういえば私が所属しております出版業界でも、中公新書で一時代を築いた中央公論は倒産して、読売新聞の傘下に入りました。いまは著者の名前で本を買う人がほとんどで、出版社のブランドで本を選ぶ人は限られているでしょう。「同じテーマなら、値段が高くても岩波文庫を選ぼう」と考える人は、かつてはおられましたが、いまはどれぐらいおられるでしょうか。
ましてや講談社を、小学館を「同じ著者ならこの出版社を選ぼう」という読者を探すのは至難だと思います。出版業界はまだ日本語という非関税障壁で守られて、外国と勝負をすることはほとんどありませんが、他の業界では日常的に国内外での競争に曝されています。いま、技術による優勝劣敗があらゆる業界で起こっているのではないでしょうか。そこで技術にこだわっている長寿企業の戦略は、さすがだと言えます。