朝の新聞を開くごとに、亡くなられた人々の数が増えてゆく。なんといたたましいことか。心臓がギューッとわしづかみにされるような感覚に襲われるのは、私だけではないだろう。心よりお悔やみを申し上げ、被災された方々の一日も早い復旧を、衷心よりお祈りいたします。
 
私はビジネス書の出版や、社史の企画・制作、アーカイブ業務を受託する会社を経営しています。と同時に、青学大大学院後期博士課程に籍を置き、「長寿企業の経営スタイルと経営哲学」を研究しています。
 
この研究を始めた理由は、社史やアーカイブを扱っている会社なので、長寿な組織にはもともと関心があったこと。次に、自身が経営する会社は27年目になり、そろそろ次世代に渡してゆく準備を始めるころとなりました。いま、53歳なので、経営者としてはこれからですが、経営の継承を万全にしようとすると長い時間がかかります。継承はどのようにするのがよいのか。経験を積んでこられている長寿企業に学ぶことから始めようというのが、もうひとつの動機でした。
 
経営者が、経営の移譲を考えるころになると、我が社にもっと大きくなってほしい、と思うより以上に、横ばいでも良いから潰れないでほしい、と思う気持ちのほうが強くなるのが、経営者心理です。
攻勢一辺倒でやってこられたソフトバンクの孫正義さんが「300年企業を目指す」*1と言われたことを受けて、「ソフトバンクも成長から経営の維持へ舵を切った」ということがわかります。企業規模は雲泥の差ですが、同じ年で、共に20代で会社を立ち上げ、同じ経営塾で学んでいましたので、多少の心象風景はわかります。
 
これから私が関わってきた社史の企画・編集、アーカイブサポート業務、そして大学院で調査・研究してきた成果をご紹介しながら、経営者や後継者の方々に少しずつ情報を発信してゆきたいと思っています。読者の方々からも、いろんなご意見、お考えがいただければありがたく思います。
毎週1回、木曜日に出す予定です。末永くお付き合いのほどお願いいたします。
 
*1:『カンブリア宮殿』(2010年7月19日放送)「孫正義の社長術」テレビ東京