経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

2012年03月

第53回:代々の経営者の同族性と、経営の後継者に求められる考え方

53図表

同族の第1位は「社員との良好な関係」を圧倒的な数字で選んでいます。同族は会社の中では圧倒的な力があるだけに、社員への気遣い、人間関係への配慮が必要となります。同族では第3位にも「販売先との良好な関係」をあげており、人間関係に重きを置いた経営をしている様子がわかります。
一方、非同族では「利益確保への執着」が第1位に選ばれています。まずは、非同族として任されたが、組織を維持、発展してゆくには利益が必要だ。多少の人間関係を犠牲にしても利益を上げる事に執着する非同族の責任感が見えてきます。
次に、「社員との良好な関係」と「経営陣との融和」が上がっています。同族では「経営陣との融和」はできているか、同族だから必要ない、と考えられているようです。
そして、非同族では「経営陣との融和」が3位に上がっています。同族でも、非同族でも、人間関係の上では社員に最も気を遣っており、利益確保には順位の差があることがわかりました。

第52回:経営を継承する人たちに求められる考え方

52グラフ

「社員との良好な関係」が圧倒的に第一位にきています。同族の経営者が、息子か、同族ではない社員か、後継者を想定して、その人に何を求めるのか、を考えていただいた結果です。同族企業がほとんどですから、まずは社員が納得して付いてきてもらわねばなりません。よって「社員との良好な関係」がトップにきています。次に利益確保、そして「販売先との良好な関係」を築くことです。
80%の企業が平均で4代にわたって同族経営できて、株式の75%以上を所有しているわけですから、圧倒的な力をもっています。だからこそ、社員に付いてきてもらわないことには、平均224人の会社を同族だけで維持してゆくことができないからです。

創業時に会社は何らかの目的があって始められます。「もっている技術や商品を試したい」「勤めていた会社がおかしくなったが、この仕事を続けたい」などさまざまですが、最初から「社員の雇用を守るため」という目的を持つ会社はほとんどありません。よって、この答えは、長寿企業ならではであろうと思います。
長寿企業は、長年の間に、事業内容や事業目的を変化させて、生き残ってきました。それは当初の事業が不易と流行によって、残ったところと変化したところが有るからです。
最初はビジネスの内容そのものが目的だったのが、長年の間に、組織そのもののために動くようになる。つまり、雇用を守ることが一番大事なことになってきます。

取材をしたある東京の会社は、現在の資生堂の創業者・福原有信氏を輩出したと言っておられました。著名企業でなくても、このように起業家を輩出した例は長寿企業には枚挙にいとまがありません。
起業する人物を輩出し、雇用している社員の雇用を守っている。長寿企業はまさしく社会を下支えしている、大事な経済インフラのひとつであると言えるでしょう。

第51回:代々の経営者の同族性と、経営の継承が上手くできた理由

代々の経営者が同族である企業と、そうではない企業に、経営の継承が上手くできた理由の回答を比べてみました。

51図表

当然ではありますが、同族においては、圧倒的に「同族である事」が選択されています。そして第2位に入ったのが「継承する者同士の意志疎通を大事にしたから」で、これは同族でない企業でも2位になりました。逆に、同族でない企業では「非同族に切り替えたから」というのが1位になりました。これは同族経営者に適当な人物がいなかったか、同族の後継者に成果が上がらず、非同族の経営者にバトンタッチをせざるを得ない、状況に陥ったからでしょう。
後継経営者の80%は同族者ですから、「どうしても同族後継者に恵まれなかった」ようなケースでしか、平均144年、229名の長寿会社では経営を同族以外の人に任ることはできなかったようです。

また、非同族でも今までやってこられたのは「同族経営を続けてきたから」という回答がありました。これは現在は非同族者が経営をしているが、同族経営そのものを否定的に見ているわけではないので、どこかの時点で創業家への大政奉還の可能性を含んでいるのではないかと思います。

第50回:経営の継承が上手くできた理由

50グラフ

40%が経営の継承がうまくできた理由として、「同族経営を続けてきたから」をあげました。同族経営礼賛になっています。この結果と、第45回の回答で、代々の経営者は80%が同族でありましたので、このふたつは表と裏の関係にあります。同族経営を続けてきたから経営の継承がうまくできて、その結果、80%の会社では平均144年間、同族経営を続けてきた、ということです。
144年間には平均4回程度の経営の継承がおこりました。その時、80%の会社が同族への継承を行い、それは今日の結果として良かった、という評価をしているようです。
また、第47回にあるように、後継者の人選で重要なことは「同族者であること」は29%で、けっして高いわけではありませんでした。しかし、結果として今回の調査対象であった非上場の長寿企業では、同族性は高いと言えます。

アンケートに答えていただいた東京のある老舗企業からは、化粧品の資生堂の創業者・福原有信氏が輩出しました。長寿企業は、長年、地元を支え、雇用を守ってきました。そして、多くの起業家も輩出してきて、まさに日本の下支えをし、日本産業の母胎となった企業です。もっと評価されて良いと思うのは、筆者だけではありません。

第49回:経営者の同族性と後継者の人選について

49図表

同族である会社と、同族で無い会社の選択には、一目瞭然での差異がありました。同族企業が選んだ「同族である事」は1位に入り、統率力と人柄が2位と3位になっています。そして、同族でない会社は1位が統率力、2位が人柄、3位が指導力で同じですから、同族の場合は、「同族であること」が1位に割り込んだ結果と見れます。
そして同族でない企業の選択に、「同族であること」が1/3の11%になっています。非同族経営者の10人に一人は同族への大政奉還を考えているようです。
「同族であること」を除くと、どちらも後継者に同じような能力を求めていることは興味深い結果でした。
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