経営年数100年以上の企業の経営スタイルと経営哲学を研究しています。調査・研究成果を発表してゆきます。

第60回:過去10年の経常利益の平均、および同族、非同族と、先代から受け継ぐ要素:経営哲学

長寿企業の経常利益の現状と、先代経営者から引き継ぐ要素として「経営哲学」を大事に考えている経営者の回答を掛け合わせたものです。ここからは経営の利益率と「経営哲学」への関心の強さに、関係があるかどうかがわかります。

60図表

この表で明らかなのは「2%以下」以上のところで、2位との圧倒的な差を付けていることです。1位でこれだけ2位と差を付けたのは「ヒト」に次ぐ数字です。つまり、赤字でない企業においては、「ヒト」が1位で「経営哲学」を2番目に重要視してきた、ということがわかります。
赤字のグループで1位と2位の差がほとんど無いのは経営哲学を軽視しているからかもしれません。逆に重視する事で、浮上するかもしれないチャンスがある事を示しています。

60グラフ

同族と非同族でわけた表ですが、ここに大きな違いが出現しました。同族の「やや重要である」と「重要である」の合計は82%ですが、非同族のそれは68%です。非同族の人たちは経営哲学は同族のものであると考えているか、非同族として経営をしてゆくのに先代からの「経営哲学」には若干の抵抗感があるのか。非同族の経営者が自分の経営哲学を浸透させるには時間がかかりすぎるので、「経営哲学」以外のものを重視しているということでしょう。「重要」を選んだ%では、55%と40%の差が出ています。これにも有意な差が出ていると言えるでしょう。

第59回:過去10年の経常利益の平均、および同族、非同族と、先代から受け継ぐ要素:情報

長寿企業の経常利益の現状と、先代経営者から引き継ぐ要素として「情報」を大事に考えている経営者の回答を掛け合わせたものです。ここからは経営の利益率と情報への関心の強さに関係があるかどうかがわかります。

59図表

「情報」は外からもたらされる情報だけでなく、社内で生み出して交換される情報、つまり意志決定の経路や会議体のあり方も、情報の仕組みとして考えています。もちろんIT系の情報システムも含まれます。
「カネ」「技術」と比較すると、一目瞭然の違いです。赤字会社以外のグループで「重要」は2位となっています。特に、11%以上のグループで「重要」は、「どちらとも言えない」と同数の2位ですから、「情報」に対する評価は低いと言えます。
数量は別にして、順位だけを捉えると、11%以上の企業では評価が低く、赤字の企業では評価が高い、という結果です。これには何か意味がありそうです。高収益の会社は情報に頼った経営はしていない、ということであり、赤字の企業はいつもたらされるとも限らない情報に頼った経営をしているので、安定しないということでしょう。

59グラフ

同族の「やや重要である」と非同族の数を%に置き換えると、各々48%と43%です。「どちらとも言えない」以下の数字を%に置き換えると、合計で同族が27%、非同族が25%です。いずれも、非同族の人たちの評価が低いと言えます。情報については、先代からいただいても、あまり役に立たない、という認識は同族も非同族も同じですが、若干、非同族のほうが厳しい目に見ているようです。

第58回:過去10年の経常利益の平均、および同族、非同族と、先代から受け継ぐ要素:技術

長寿企業の経常利益の現状と、先代経営者から引き継ぐ要素として「技術」を大事に考えている経営者の回答を掛け合わせたものです。ここからは経営の利益率と技術への関心の強さに関係があるかどうかがわかります。

58図表

全体的に、技術の評価が高い事がわかります。ポイントは「カネ」の時に、11%以上のグループは「カネ」を重要と選んだのは第2位でしたが、この技術では重要を選んだのが第1位になっていることです。2%以下のグループではわずかな差で2位になりましたが、ほかのグループは「カネ」と比べると、1位と2位の差が開いています。今回のアンケートで技術に対する評価が高いのは一貫していますが、それは利益率との関連はありませんでした。

58グラフ

技術については、「やや重要である」と「重要である」の合計の割合が非同族で84%、同族で78%です。若干、非同族のほうが重要に思っているようですが、特質を表すほどの差ではありませんでした。
同族も非同族も同じぐらいに技術は大事だと思っています。ただ、「重要」を選んでいる比率は非同族のほうが多く、全体でも6%多かったので、若干、非同族のほうが技術には関心が高いと言えそうです。
同族は長年の経営でこだわっていること、まとっているものがたくさんあります。経営を維持してゆくのに大事なものは暖簾だのブランドだの信用など、いろんなものがあります。しかし、非同族にとっては、自分が経営している年数が勝負です。その結果として、このような評価になったと考えられます。
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